スコ丸ブログ

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ハエトリグモが大きくなる季節です。

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 スコ丸は虫の生態が好きです。触ったりするのは嫌なのですが、生態を調べたり観察するのはすごく楽しい。

 

 今回は、壁に居たハエトリグモです。

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 チャスジハエトリという名前のハエトリグモです。家の中ではよく見かける蜘蛛だと思います。とても元気がよく、ずっと動いていたので写真がブレてしまいました。

 基本的にハエトリグモは目が非常に発達していて、物体を目視で確認することも、形を認識することもできると言われています。特に、目の前に小さな物を動かすと、小さな目で一生懸命見ているのがわかります。

 前の2つの目で主に見ているため、後ろから綿棒などを近づけるとジャンプして振り返ったりします。これは、ハエトリグモは合計8個の目を持っており、これで全体を認識できます。ただ、前の2つの目の視力が特に良いため、振り返って向かってくる何かを確認しているというわけです。

 逃げるだけだったり、全く反応しなかったりする他の昆虫と異なり、このハエトリグモはこっちの動きに反応しますし、動きも見た目も可愛らしいと思います。

 また、繁殖の時期になるとオスがメスに向けて前足日本を使ったダンスを踊ることも知られています。ダンスする虫は珍しく、これは目が良いことからメスも「相手のダンスを見て甲乙つけることができる」というわけです。

 

 ここからはスコ丸の思うところです。

 これをもう少し考えていくと、生き物の脳はまだまだ解明されていないことだらけですが、これをパソコンになぞらえて考えて見たいと思います。

 パソコンでは一般的に、音声処理よりも画像処理のほうが多くの処理が必要となります。このハエトリグモは、音で生活するよりも目視で生活することを選んでいるのです。

 この目視で生活するということは、より多くのエネルギーを必要とすることであり、それはより沢山の食事が必要となることとイコールです。では、音だけを頼りに取ることは選ばなかったのでしょうか。これは、アシダカグモという大型の蜘蛛が居ます。

 このアシダカグモは飢えに強く、しばらく餌がなくても徘徊しながら餌を取れるといいます。つまり、音で狩りをする生き物は沢山いるのです。アシダカグモだけではありません。ムカデ、ゲジゲジなどなど、音での狩りは競争相手がかなり居ます。しかも、どれも大型です。目視などでエネルギーを使わない分、体の大型化ができたのではないでしょうか。また、音をもとにする生き物は、ほぼ目は見えません。光があたっているかどうかがわかる程度です。

 つまり、音による狩りはプレイヤーが非常に多いのです。ここで勝つにはより大型化・凶暴化するしかありません。しかし、そうなると今度はモグラなど、より上位の捕食者の好物になってしまいます。

 

 では、目が良くして空から羽虫を狙うのはどうでしょうか。

 一般的に、歩くことより飛ぶことのほうが圧倒的にエネルギーを消費します。目で見ること云々を言っている場合ではありません。消費する以上に食べ続けなくてはなりませんし、体の大型化も厳しくなります。そのため、体内のエネルギー貯蔵は難しくなり定期的にエネルギーを摂取する必要が出てきます。そうなると、音による狩りよりも一層厳しい世界が待っています。

 そこで、いいとこ取りをしたのがハエトリグモではないでしょうか。

 目もいいですが、飛ぶことはせず、地上から飛ぶ虫を取ります。それだけでなく、目視で徘徊性の虫も取る。地上なので多少の大型化をして体内にエネルギー貯蔵もできる。

 地球上に広く生息域を広げたネコ科のように、狩りのターゲットを広く浅く定めた成功例と言えるのではないでしょうか。

 

 ハエトリグモの賢いライフプランを考えたところで、最後に。

 ハエトリグモは人間に害はありませんし、衛生害虫の幼虫を食べてくれたり、羽虫をとったりもしてくれます。

 それでも嫌いという人は、そっと捕まえて外に逃がしてあげるといいですね。

 

 また、彼らはあくまでも厳しい自然を生きる野生動物です。たくさん遊ぶと餌がないときに消耗してしまうかもしれません。

 ほどほどに観察したら、そっとしておいてあげてください。