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良い顧客の選び方

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 よく「コスト感覚を持ちなさい」と言われますが、それは粗利を考えるだけでなくて人件費をもっと考えたほうが良いということだと思います。

 結果から言うと、担当者レベルでも「面倒なだけでなく、会っただけで疲れるような顧客は切る」というのが正解だと思うということです。

 人件費の計算式を考える場合、経営者視点で見ればバランスシートで給与等から社員数と勤務日数で平均月額人件費などを考えると思います。これが、雇用者側から見ると給与額面を勤務日数・勤務時間で割ることにより自分の大まかな時給を算出することができます。

 

 例えば、顧客に訪問する際、交通時間も含めて2時間かかるとしたら当然 ”自分の時給✕2(時間分)+交通費” で訪問にかかるコストを算出することが出来ます。

 では、時給が2,500円で交通費が電車で往復1,120円だった場合は、一回の訪問だけで3,620円となり、粗利がそれ以上であれば、訪問する価値が有ると考えていい。というのが、コスト感覚だと思っています。

 

 しかし、これは工場の稼働率の計算のようなもので、朝の一時間も終業前一時間の労働意欲や効率が同じであればの話です。

 残念ながら、「セールスとマーケティング」は人間の社員が行いますし、相手も人間なため、成約云々は社員の意欲やコンディションに依るところが大きくなります。

 どんどん顧客との成約が取れ、自分に自信が付きクロージングを進めることが出来るようになるような日は、気分が落ち込んで仕方ない日よりも圧倒的に生産性が高いものです。

 何が言いたいかというと、人件費の数字としては同じ日給・時給で有るが、その中身は社員のコンディションによって随分違ってくるということです。

 

 ここで、顧客の良し悪しを考えていきます。

 良い顧客は、クレームも含めて社員を育ててくれますし、顧客とのつながりの中で社員のコンディションも上がっていきます。つまり、良い顧客は社員のモチベーションさえ上げてくれる存在なのです。

 では、悪い顧客とは。それは、会うだけで社員のモチベーションを下げるような「気難しい」とか「何をしてもクレームばかり」とか、とにかく社員が会いたがらない顧客を言います。

 悪い顧客に会うと社員は、顧客全体に悪いイメージを持ち始め、良い顧客にさえ悪いイメージを持って接する可能性もあります。また、悪い顧客と会うことで社員のモチベーションが下がり、全体的な生産性も下がってしまいます。

 また、悪い顧客の特徴として「社員を私物化する」というものがあります。自社の社員に対して、アポも取らずに「今から来い」とか、いきなり携帯に電話して「見積もりの〇〇がおかしいから書き直せ」など、社会人として考えられない要求を行い、社員を私物化します。

 

 このような顧客は、大きな取引先であったり、地元でも有力な方で有ると「思われている」ことも多いです。

 なぜ「思われている」なのか。

 それは、その明らかに「悪い顧客」が、自社と取引をしているかを考えればわかります。

 他の同業他社も、そんな面倒な顧客とは取引したくないのです。

 一応、上司や会社の方針として「形だけの提案」を行うことも有るでしょうが、社員が取りたくない取引先など必要ないから本気で取りに来ないのです。

 だから、いつまでたっても自社に悪い顧客が入り浸っているのです。

 

 このような顧客が居るだけで、社員もコンディションは下がり、生産性は落ち込み、給与ベースで考えて本来であれば1時間あたり2,500円くらいの仕事が出来るのに、悪い顧客のことを考えたり、対応に追われる無駄な時間として時給の半分以下の仕事しかできなくなるのです。

 

 このような悪い顧客は、すぐに切り捨てるべきです。

 切り捨て方は、とても難しいです。

 何故なら、いくら悪くても大きな取引先を切り捨てるとなると、オーナー社長ならまだしも雇われ社長であれば株主が文句を言うでしょう。

 また、あなたが取引先を切りそうな不穏な空気を見せれば上司は担当を変えたり、評価を下げたりしてくる可能性もあります。

 

 では、どうやって切るのでしょうか。

 これは、同業他社に擦り付けるしか有りません。

 逆のマーケティングを行うのです。

 

 同業他社が、悪い顧客に提案を行う予定を調べます。恐らく、これは簡単です。何故なら、悪い顧客はあなたに「値引き」をしたくて仕方ないので、相見積が取れるチャンスがあればどんどん取って、あなたに取引終了の脅しを仕掛けて来るからです。

 

 これがわかれば、すぐに行動を仕掛けましょう。

 悪い顧客相手に「これ以上の値引きは無理だし、急な対応も厳しい」と、今まで以上のサービスが出来ないことを伝えるのです。「今後の業務が忙しくなる」とか「担当営業先が増えて」とか適当なことを言っておけば良いのです。

 勿論、これは上司には相談しません。勿論、文書としても出しません。お話の中で、ポッと出していくのです。

 

 そして、同業他社の提案が通りそうになった時、上司に相談するのです。

 クロージングは、早いほど良いものです。

 競合相手の値引きに対して、諦めた自社にチャンスは有りません。

 ”残念ながら”同業他社に悪い顧客をお譲りしましょう。

 

 よく、2倍の時間働いた凡人に1倍しか働いていない天才は叶わないと言われます。勿論、そのとおりです。物量作戦は無敵です。

 

 しかし、沢山社員の居る会社のたった一人が2倍頑張っても無意味なのです。その有能な凡人に大量の仕事が回ってくるだけです。会社としてはなんにもなりません。

 昇進すればこちらのものですが、ハードワークだけが答えじゃないのも社会の面白いところです。

 

 面倒な悪い顧客を切り捨て、良い顧客だけとワーク・ライフ・バランスの良い仕事をする。これからの時代はそれが良い方法だと思います。