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モンスター化するカスタマー、モンスター化させたマネジャー

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 近頃、一気にモンスタークレーマーやカスタマーハラスメントの話を聞くようになりました。

おそらく理由としては、

①人の認知力・注意力は、他のこと(※)で簡単に削がれてします。→②認知の歪みは誤った認識を生じさせ、そのまま相手へ押し付けます。→③誤った認識を訂正されると混乱しつつ激高し、モンスター化します。

※他のこととは、コロナウイルスへの恐怖心、収入の減額、生きることそのものへの不安です。

 さて、モンスター化したら可哀想だし、お客様は神様だし、顔で笑って心で泣きましょうか?マネジャーは直接対応しないから、非正規雇用の人たちに泣きながら相手させましょうか?

 今までそうしてきた日本企業です。

 許せないので、今までがどうで、これからどうするべきか、自分の考えを書いていきます。

① 昇進したい理由が「お金と楽をしたいから」な日本企業

 日本企業、とりわけ古い体質や体育会系の企業では多いのですが、管理職がとても多いです。その多い管理職の仕事はというと、そんなに多くはありません。

 管理職において、管理の業務自体はそこまで多くないので、「現場の仕事+管理の仕事」という感じになります。しかし、現場も管理も仕事量が一定ではないから、管理職が長ければ長いほど、業務時間をできるだけ空けて、管理の仕事が急に来ても対応できるように調整します。

 すると管理職の中で生じがちなのが、「現場の仕事<管理の仕事」となることです。これは決して悪いことではありません。業務分担として当然のことです。

 しかし、現場と管理と完全に分けられるような仕事ならいいですが、微妙なラインの仕事があります。

 例えば、「年間の数値目標」や「従業員の数値管理」などは完全に管理業務ですが、トラブルに発展したお客様との対応はどうでしょうか。おそらく、これを読んでいる方は「程度による」としか答えようがないのではないでしょうか。その中でも、訴訟に発展したトラブルであれば、管理職が出ていくかもしれません。もしかしたら、総務の法務担当が出てくるかもしれません。

 では、お客様とのトラブルで「ハードクレームで涙もろい従業員が泣く程度」の場合はどうでしょう?

 とても難しいですよね。違法なものは別として、どんなハードクレームでも、1〜2ヶ月対応すれば諦めます。

 僕が思うに、「1〜2ヶ月で済む程度であれば、従業員には泣いて貰って仕事を続けていこう」というのが一般的な企業の考え方です。ですから、「現場は大変」という意識になるのです。何が大変って、「ただ耐えるだけ」だからです。

 昇進する前の従業員は「管理職になれば、業務は大変でも耐える業務は少なくなりそう」と考えてしまいます。早く昇進して「忍耐地獄」から開放されたい、と。

 もちろん、ハードクレームが年に数回しか無かった場合なら今までの対応でも良いでしょう。非正規従業員も、辞めた分だけ補充すればいい。

 ただ、ハードクレームを受けた人が新たなクレーマーになる、まさにゾンビ映画パンデミックが広がっています。

 

②なぜ、そうなったのか?

 よく「お客様は神様です」の標語から、お客がモンスターとして増長したと言われます。でも、僕はそれは違うと思うのです。

 それは、日本国内の企業が過密状態にあるからだと思っています。

 例えば、プロパンガスの会社、日本全国で21,000社以上あります(経済産業省調べ・2013年)。この中には、全国でも聞いたことある大企業から、家族経営の中小企業まであるのです。

 この中小企業は、流通上大企業にはガス料金で勝てません。では、どうやったら中小企業が生き残れるのか。それは、大企業よりもより良いサービス、地域密着型の経営をしていくしかないのです。

 こう聞くと、「当たり前」のように聞こえますが、中小企業の敵は大企業だけでなく、他の中小企業でもあるのです。より良いサービスはよりニッチ化していき、地域密着はより深くなっていきます。

 そうなると、利益率・業務効率は悪化、労働環境もどんどん悪化していきます。

 これが、飲食業、小売、エネルギー、すべての業界で起きて、今のような惨状になっているのです。

 

③この狂った世界を変えるには

 今の読者様が、コーラを買うとして。お店から持ってきてくれるのと、買いに行くの。どちらも同じ料金だったらどうしますか?ちなみに、持ってきてくれることによる囲い込みなどは一切ありません。

 僕だったら、毎回持ってきてもらいます。

 これは②で言った、より良いサービスの例です。顧客がより良いサービスを求めることは「当然」なのです。

 では、従業員が「コーラを持ってくるのを断れば」良いのでしょうか?

 基本的に、仕事は業務規程や服務規程に則って行われ、書いていないことはマネジャー判断になります。つまり、従業員で断るのはかなり難しいのです。

 また、「従業員のAさんは持ってきてくれたのに、Bさんは断った!」との新たなクレームになりかねません。

 つまり、マネジャーが勇気を振り絞って「コーラを持っていくことは金輪際しない」と宣言すること、それでも「コーラ今すぐもってこい」という顧客には毅然として「当社ではそのサービスは終了しました。」とマネジャー・従業員一丸となってお断りすることが大事です。

 その後に、「責任者連れてこい」「コーラ持ってくるついでにマネジャーが土下座しに来い」と言われた場合、「これ以上の要求は対応しかねます。これ以上の要求がある場合、当社の弁護士に相談し警察にも通報させていただきます」と遮断することが大事です。これをマネジャーがするのです。

 

④どう考えれば良いのか?

 ③はとても難しいと思ったのではないでしょうか。しかし、マネジャーであれば、全てに対して「コスト感覚」が求められます。

 クレーマーが時給1,000円のアルバイト店員に1時間説教して、30分かけてコーラを持ってこさせたとすれば、どうでしょうか。「コーラの原価から売値が利益」とまだ言いますか?

 人件費をコストとして計算すべきです。スーパーのレジ担当であっても[顧客の平均売上と原価]から何名の顧客のレジを通せばどの程度の黒字になるかすぐに算出できます。それに、レジ担当もすぐには一人前に使えません。

 作業担当のアルバイトは、「職人技」なのです。「研修中バッジ」をつけてベテランが教えながら1ヶ月、実際担当者として作業初めて3ヶ月。合わせて4ヶ月程度は一人前とは言えません。

 それまでの時給は「教育費」なのです。

 それをクレーマーのせいで辞めてしまえば、4ヶ月の人件費(教育費)が無駄になります。また、従業員の退職は他の従業員のやる気に関わります。

 ちゃんと経費計算をして、ハードクレーマーを撃退し、コロナウイルスのなかでも高純利の経営を目指してほしいと思います。